
科学の進歩と技術革新は、人類の様々な課題を克服する鍵であり、多くの場面で科学の進歩が技術革新を促進し、新しい産業を生み出すなど経済社会の発展に大きく貢献してまいりました。
しかし、その一方で科学・技術によって栄えている近代文明の負の側面が顕在化することもまれではありませんでした。その一つとして環境問題があります。
茨城県は豊かな水と緑に囲まれた県と言われており、霞ケ浦は、湖面に浮かぶ帆引き船や背後に望む筑波山と一体となった心なごむ風景を私たちに提供してくれるばかりでなく、農・漁業の振興、飲料水の供給、レクリェーションの場など、私たちの生活に密着した環境として存在しています。
近年、豊かな環境をもつ霞ケ浦は、社会、経済構造の変化とともに富栄養化による水質汚濁が進行しています。このような霞ケ浦の環境改善を図るためには科学・技術の果たす役割は、決して小さなものではありません。
霞ケ浦水質浄化プロジェクトは、筑波研究学園都市内にある研究機関をはじめとし、地域における水質浄化技術研究のポテンシャルを結集し、かつての霞ヶ浦を取り戻すため、産学官が連携して、技術開発に取り組むことを目的として平成9年に財団法人茨城県科学技術振興財団に設立した組織です。
以降、「茨城県地域結集型共同研究事業(文部科学省)」(平成9年から14年まで)、「霞ヶ浦バイオマスリサイクル開発事業(文部科学省)」(平成14年度から16年度まで)、さらに「豊かな生き物を育む湖沼の再生(環境省)」(平成15年度から16年度まで)に取組んできたところです。これらの共同研究には、61機関約150名の研究者に参加をしていただいておりますが、さらにこれらの蓄積した研究成果を発展させ、独自の研究分野に熱意を持って取組んでまいりたいと考えておりです。
これらの事業をとおして研究者同士のネットワークが構築されると同時に、新技術・新産業の創生あるいは企業への技術移転という形で研究成果が地域社会に還元し、21世紀に生きる次の世代へ美しい霞ケ浦を引き継ぐことができるものと確信しております。
財団法人 茨城県科学技術振興財団
理事長 江崎 玲於奈