地域結集事業終了後の展開
地域結集型共同研究事業の事後評価での指摘事項を踏まえ、それぞれの指摘事項に対する対応方針を検討の上、フェーズIIIを推進した。
まず、窒素・リン除去高度処理浄化槽システムの普及促進に関しては、本方式を霞ヶ浦方式浄化槽として型式認定するとともに、浄化槽設置に当たっての補助制度を茨城方式として新設し、その普及を促進することとした。

また、フェーズIIまでの成果の展開と関係方面への開示の方法の一つとして、「第4期霞ヶ浦に係わる湖沼水質保全計画(以下、湖沼水質保全計画)」を策定するに当たっては、市町村、県庁内関係各課、茨城県環境審議会等の広範な意見を聴取し、フェーズIIまでの成果を盛り込むこととした。さらに、霞ヶ浦の水質浄化に対する理解と協力を得るため、県・市町村・各種団体と一体となった水質浄化運動を展開することとした。

霞ヶ浦方式浄化槽設置への補助制度や県の生活環境保全条例による排水規制強化などを導入して、霞ヶ浦の水質浄化対策を推進するとともに、「霞ケ浦環境科学センター」を設立し、水環境問題に関する地域COE拠点として強化発展させることを目指した。

(1)地域の支援体制の概要
つくば地域を中心とした科学技術振興に関する構想を踏まえ、フェーズIIIを以下のような推進体制で取り組んだ。
  1. 科学技術推進体制
    産学連携の推進平成15年度に商工労働部産業政策課に「産学連携推進室」を設置
    科学技術の振興平成17年度に企画部に「科学技術振興室」を設置
  2. フェーズIIIの推進体制
    霞ヶ浦水環境対策生活環境部霞ヶ浦対策課(現環境対策課水環境室)
    結集型事業の中核機関(財)茨城県科学技術振興財団
    地域COE拠点霞ヶ浦浄化技術研究会(平成9年に設置)
    茨城県霞ケ浦環境科学センター(平成17年4月に開設)
A 競争的資金の獲得
競争的資金等として、「霞ヶ浦バイオマスリサイクル開発事業」、「豊かな生き物を育む湖沼の再生」、「霞ヶ浦における水と人とのかかわり」の3つの事業を獲得し、事業を実施した。
  • 「霞ヶ浦バイオマスリサイクル開発事業」
    フェーズIIまでの成果を家畜排泄物等の廃棄物処理に応用し、生ゴミと家畜糞尿のエネルギー資源化および廃棄物の有効利用化技術によるバイオマスリサイクルプロセスの開発を行った。
  • 「豊かな生き物を育む湖沼の再生」
    フェーズIIまでの成果である霞ヶ浦の底泥浄化技術等が霞ヶ浦の生態系に及ぼす効果をパイロットスケールで実証した。
  • 「霞ヶ浦における水と人とのかかわり」
    霞ヶ浦流域における水と人の係わりについての調査研究、フォーラムを行った。
    事業名自然共生型流域圏の再生(国土交通省)
    事業期間平成14年度
    研究テーマ霞ヶ浦における水と人とのかかわり
    主な参加研究機関筑波大学、(財)茨城県科学技術振興財団
    ※この事業は、平成16年度より、「ミリオンズレイク調査研究事業」として、霞ケ浦環境科学センターの事業として展開している。

    B 県単独支援事業の予算措置
    県単独支援事業として、「霞ヶ浦方式浄化槽設置促進事業費」(平成15年度〜)、「戦略分野関連産業推進事業−産学連携チャレンジ補助(平成16年度〜)、地域COE拠点として「茨城県霞ケ浦環境科学センターの設置等」(平成14〜16年度)を実施した。

    C 研究者等ネットワークの形成・維持
    結集型事業発足と同時に産学連携の強化を図るために設置した「霞ヶ浦浄化技術研究会」(平成9年度〜)を継続、つくばを起業・新事業創出および知識産業集積地の拠点づくりの活動「つくば産業フォーラム」の中で「循環型社会を目指すつくばフォーラム」(平成14年度〜)と「つくばエンバイロフォーラム」(平成14年度〜)を推進した。

    (2)地域による主な支援策の概要
    A 霞ヶ浦方式浄化槽設置促進事業費(平成15年度〜)
    事業主体茨城県(生活環境部 廃棄物対策課)
    事業概要結集型事業で開発した窒素・リン除去高度処理浄化槽システムを霞ヶ浦方式浄化槽として普及するため、浄化槽設置費用等を補助する。
    事業の成果
    又は現状
    現在浄化槽の水質基準として窒素、リンが規制されていないため、優れた技術ではあるが、既存の浄化槽に比べ高価、メンテナンスが難しいなどの理由で、本浄化槽の普及は必ずしも順調とは言えない。

    B 戦略分野関連産業推進事業−産学連携チャレンジ補助(平成16年度〜)
    事業主体茨城県(商工労働部 産業政策課)
    事業概要産業分野における集積効果を十分に発揮するため、組織を越えた研究機関の連携、融合研究体制の整備、企業への技術移転、事業化・起業化支援、セミナーなどを企画・運営し、ここで生まれた委託研究、共同研究を産学連携チャレンジ補助で支援する。
    事業の成果
    又は現状
    茨城県霞ケ浦環境科学センター設立、産業フォーラムの中の関連する2つのフォーラム設置、霞ヶ浦バイオマスリサイクル開発事業の推進等に成果を反映し、産学連携の機運の醸成に繋がった。

    C 茨城県霞ケ浦環境科学センターの設置等(平成14年度〜16年度)
    事業主体茨城県(生活環境部 霞ヶ浦対策課(現 環境対策課水環境室))
    事業概要霞ヶ浦をはじめとする県内の湖沼、河川の水質や大気などの環境保全を推進するため、市民・研究者・企業・行政のパートナーシップのもと、それぞれが連携、協力して取組むための総合拠点として平成17年4月に開設した。
    事業の成果
    又は現状
    平成17年4月に開設し、霞ヶ浦の水質保全等に係わる地域COEとして活動している。

    D 霞ヶ浦浄化技術研究会(平成9年度〜)
    事業主体茨城県(生活環境部 霞ヶ浦対策課(現 環境対策課水環境室))
    事業概要結集型事業「霞ヶ浦水質浄化プロジェクト」を円滑に推進するために研究会を設置し、情報交換、ネットワークの構築、事業成果の応用等を推進する。
    事業の成果
    又は現状
    現在までに、研究会を計11回開催した。参加人員は当初の約50人から現在では約100人と増加している。

    E 循環型社会を目指すつくばフォーラム*(平成14年度〜)
    事業主体循環型社会を目指すつくばフォーラム(商工労働部、産業技術課)
    事業概要つくば産業フォーラム(5分野6フォーラム)の1つで、環境事業を専門とする企業が集結し、循環型社会を目指して企業と研究機関の連携による共同研究・開発等を推進する。代表幹事:潟_イヤ分析センター事務局 :茨城県工業技術センター、いばらきサロン
    事業の成果
    又は現状
    年2回程度開催している。現在の会員は87団体、企業58社となっている。

    F つくばエンバイロフォーラム*(平成14年度〜)
    事業主体つくばエンバイロフォーラム(商工労働部、産業技術課)
    事業概要つくば産業フォーラム(5分野6フォーラム)の1つで、環境関連の企業が集結し、環境浄化に関する講演会・施設見学会・ビジネスプラン発表会等を開催し、企業と研究機関の連携による共同研究・開発等を推進する。代表幹事:中山環境エンジ且末ア局 :茨城県工業技術センター、いばらきサロン
    事業の成果
    又は現状
    年2回程度開催している。現在の会員は39団体、企業102社となっている。

    フェーズIIIの研究状況
    1. 継続中ないし展開したテーマ
      1. 流域対策技術の開発(フェーズIIのWGI)
        1. 有用高機能微生物の特性評価と応用化技術
        2. 土壌微生物を用いた生態工学浄化システム
        3. 高機能微生物を活用した省エネ・省コスト型生活系・事業場系排水の窒素・リン・難分解性有機物除去技術
        4. 水生植物を用いた生態工学浄化システム
        5. 直接方式による有用微生物又は物理化学的手法を活用した低濃度汚濁水の処理技術
        6. 窒素・リン除去型への既存浄化槽の改良及び新技術
      2. 湖内対策技術の開発(フェーズIIのWGII関連)
        1. 湖沼底質の改善浄化手法
        2. 微生物を用いた藍藻類除去システム・湖沼水質改善技術
        3. 物理化学的手法を用いた藍藻類除去システム・湖沼水質改善技術
      3. モニタリング技術の開発(フェーズIIのWGIII関連)
        1. 流域管理のための水質改善費用投資及びエネルギー投入効果の評価手法
      4. 総合的な流域管理手法の確立(フェーズIIのWGW関連)
        1. 総合的な流域管理手法
      5. 共通
        茨城県霞ケ浦環境科学センターでは、フェーズIIまでの成果の継承も含めた平成17年度水環境調査研究事業として次の調査研究を開始した。
        1. 研究企画事業
          霞ヶ浦に関するモニタリングデータや研究情報等を一元的に収集・整理・提供するなど、霞ヶ浦に関する情報の共有化を図る。
        2. 水環境調査研究事業
          平成17年度から、次に示す9件の調査研究に取り組んでいる。
          • 霞ヶ浦における優占藻類種の動態及び優占機構に関する調査研究
          • 霞ヶ浦の溶存態有機物に関する調査研究
          • 霞ヶ浦のリンの増加原因に関する調査研究
          • 白濁現象に関する調査研究
          • 霞ヶ浦の水塊・潮流に関する調査研究
          • 各種原単位に関する調査研究
          • 流域管理に関する調査研究
          • 湖内水質等のモニタリング
          • 涸沼・牛久沼の水質保全に関する調査研究
    実用化・商品化の状況
    1. 実用化
      1. プラグフロー2相式メタン発酵システム
        霞ヶ浦バイオマスリサイクル開発事業の研究の成果を発展させ、生ごみ等のエネルギー資源化と廃棄物の有効利用技術としてプラグフロー2相式メタン発酵システムを開発した。
        平成18年末に商品化する予定であり、事業化推進のため(有)バイオテック研究所を設立した。
      2. 上水道のオゾン処理による臭気物質の除去
        オゾン処理による臭気物質の除去技術の実証試験で県の水質管理基準を満足することを確認し、利根川水系上水道処理に従来の活性炭法を代替して採用した。
    2. 商品化
      1. HS−mN型高度処理浄化槽
        窒素・リン除去高度処理浄化槽システムを霞ヶ浦方式浄化槽として平成15年に型式認定を得て、販売を開始した。浄化槽の水質基準に窒素・リンが含まれていないため、設備費が高い、メンテナンスが難しいなどが普及の障壁になっている。
      2. KT−mP型脱リン装置
      3. マイクロウォーターシステム
      4. ビオパレット、グリーンサークル
        クレソンを植栽したビオパーク方式が窒素・リン除去に有効であるなどの成果を自社のビオパーク方式浄化システムに応用して販売する中で、「ビオパレット」、「グリーンサークル」を商品化した。