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第14回江崎玲於奈賞,第28回つくば賞・第27回つくば奨励賞受賞者

第14回江崎玲於奈賞

第14回江崎賞受賞者:香取秀俊氏
香取(かとり) 秀俊(ひでとし)

東京大学 大学院工学系研究科研究科物理工学専攻 教授
理化学研究所香取量子計測研究室 主任研究員

授賞の対象となった研究主題
光格子時計の考案,実証および高精度化

受賞理由
時間の単位「秒」は、現在はセシウム原子時計で国際的に定義されており、その精度は10の-15乗(3000万年に1秒の誤差が生じる)レベルに達しています。香取氏は、約100万個の原子を、魔法波長と呼ばれる特定の波長のレーザーで形成された光格子に捕獲することにより、現行の原子時計の精度を、数百倍から数千倍高めた「光格子時計」を発明し、「秒」の精度を10の-18乗へ飛躍的に高めました。

光格子時計は、秒の定義を刷新するだけでなく、「重力が強いと時間はゆっくり進む」というアインシュタインの相対性理論の検証という基礎物理学への貢献や、重力による空間のゆがみを時間の進み方の違いとして検出することによる地殻変動の観測など、さまざまな応用の可能性も有しています。

第28回つくば賞

  • 第28回つくば賞:寺部一弥氏 寺部(てらべ) 一弥(かずや)
    物質・材料研究機構
    国際ナノアーキテクトニクス研究拠点
    主任研究者
  • 第28回つくば賞:長谷川剛氏 長谷川(はせがわ) (つよし)
    早稲田大学理工学術院先進理工学部
    教授
  • 第28回つくば賞:青野正和氏 青野(あおの) 正和(まさかず)
    物質・材料研究機構
    国際ナノアーキテクトニクス研究拠点
    エグゼクティブアドバイザー
授賞の対象となった研究主題
原子スイッチの発明と実用化のための研究

受賞理由
寺部氏らは、従来の半導体のスイッチとは全く異なる原理で動作する「原子スイッチ」を発明し、これを使って大幅な省エネルギー・省スペース化を実現する画期的な集積回路(IC)の実用化を成し遂げた。
これまでの半導体デバイス内のスイッチが電子の移動を制御して動作させるのに対し、この原子スイッチは、1個から数個の原子の移動を制御して動作させるもので、集積回路の大幅な省エネルギー・省スペース化を可能にした。2016年に本技術を使って、チップサイズを1/4、消費電力を1/3に削減した革新的な集積回路(FPGA)が世界で初めて製品化され、さらに、人間の脳の神経回路網に類似した人工シナプス素子の形成による脳型情報システムへの応用も進んでおり、今後、情報通信社会の進歩と発展に大きく貢献することが期待される。

第27回つくば奨励賞(実用化研究部門)

  • 第27回つくば奨励賞(実用化研究部門):津田浩氏 津田(つだ) (ひろし)
    産業技術総合研究所 計量標準総合センター 分析計測標準研究部門
    総括研究主幹
  • 第27回つくば奨励賞(実用化研究部門):李志遠氏 () 志遠(しえん)
    産業技術総合研究所 計量標準総合センター 分析計測標準研究部門
    非破壊計測研究グループ
    主任研究員
  • 第27回つくば奨励賞(実用化研究部門):王慶華氏 (わん) 慶華(ちんふぁー)
    産業技術総合研究所 計量標準総合センター 分析計測標準研究部門
    非破壊計測研究グループ
    研究員
授賞の対象となった研究主題
モアレを利用したマルチスケール変位・ひずみ分布計測技術の開発

受賞理由
津田氏らは、このモアレ法を発展させたサンプリングモアレ法を応用するなど様々な工夫を行って、電子ディバイスといった小さなサイズのものから、道路等の巨大な構造物といった大きなサイズまでをカバーするひずみ分布計測技術を構築して、モアレ計測の対象を大きく拡大することに成功した。

これらの計測法は、対象の構造自体を活用したり、二次モアレなどを用いることで、多様な対象に対して高い精度を実現するものであり、従来はコストが掛かっていた橋梁のひずみの計測に低コストでかつ制約の少ない計測技術として実用化に至った。老朽化等による橋梁等のひずみを計測することは全国各地の道路等の安全維持のために必須であることから、安価で精度の高いこの技術の今後の普及が大いに期待される。

第27回つくば奨励賞(若手研究者部門)

第27回つくば奨励賞(若手研究者部門)	受賞者:松本正幸氏
松本(まつもと) 正幸(まさゆき) 氏

筑波大学 医学医療系 教授
授賞の対象となった研究主題
2つのドーパミン神経システムとその神経回路基盤

受賞理由
ドーパミン神経細胞は報酬を得るための学習や意欲に重要な役割を担っているが、その応答メカニズムは不明であった。松本氏は、報酬が得られないときに外側手網核が興奮する結果ドーパミン神経細胞活動が抑制されることを見出し、外側手網核がドーパミン神経の抑制性応答の起源であることを明らかにした。この成果は、世界一流誌のNatureやNature Neuroscienceに掲載された。
さらに、ドーパミン神経細胞が、「報酬」に加えて「運動・認知機能」に関連した情報も伝達し、報酬シグナルと運動・認知シグナルを伝達するドーパミン神経細胞は中脳の異なる領域に分布していることを明らかにした。

これらの成果は極めて高い評価を受けており、松本氏は「文部科学大臣表彰若手科学者賞」と「日本学術振興会賞」を受賞している。