2023年度 江崎玲於奈賞

( ? 十倉 好紀(おさくらいtokとくらとくら よしのり) 氏

理化学研究所 創発物性科学研究センター
センター長 于 秀珍(おさくらいうう しゅうしん) 氏

理化学研究所 創発物性科学研究センター   
電子状態マイクロスコピー研究チーム
チームリーダー 授賞の対象となった研究主題  スピン渦結晶の直接観察とその物性の研究
受賞理由  スピン渦結晶とはスキルミオンと呼ばれるスピン渦の結晶配列である。スキルミオンは、原子核を構成する核 子のトポロジカルな渦からなる準粒子であり、1961年T.Skyrme (スキルム)によって提案された。その後、磁性体中でもスピン渦からなるスキルミオンが存在することが理論的に予言され、中性子線回折実験によってMnSiでスピン渦結晶の存在が示唆された。十倉好紀、干秀珍の両氏は、2010年磁場制御により安定なスピン渦の2次元的な結晶を実現し、磁気顕微鏡により渦構造を実空間で直接観察することに成功した。その後、スピン渦結晶が準安定で、広い温度範囲で存在し、敏感な電気応答を示すことや、室温以上でも安定に存在し、超低電流で駆動できることなどを発見した。それによりスピン渦結晶を支配する基本原理と物性を解明し、次世代の大容量メモリなどへの応用の可能性を示した。
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