メニュー

第15回江崎玲於奈賞,第29回つくば賞・第28回つくば奨励賞受賞者

第15回江崎玲於奈賞

第15回江崎賞受賞者:平川一彦氏
平川 一彦( ひらかわ かずひこ)

東京大学
生産技術研究所 教授

授賞の対象となった研究主題
テラヘルツ技術の開拓によるナノ構造の電子物性解明の先導的研究

受賞理由
テラヘルツ波の光子エネルギーは、半導体ナノ構造内の電子の量子準位のエネルギーや分子振動のそれと重なっているため、分光計測に適しているが、テラヘルツ波と単一のナノ構造との結合が弱いため、分光計測は容易でなく、解決すべき課題とされていた。平川一彦氏は、この課題を解決し、ナノ構造のテラヘルツ応答を計測する先駆的研究を行い、超格子中でブロッホ振動する電子のテラヘルツ域における利得の発現、分子のテラヘルツ光子支援トンネル現象などの解明などで、世界を先導してきた。また、ナノ構造を組み込んだ機械的共振器を用いた高感度のテラヘルツ検出器を開発するなど、テラヘルツ技術の前線を開拓してきた。テラヘルツ技術は、固体物理や電子工学に加え、医学や生物学への活用も見込めるため、平川氏の貢献は益々大きくなるものと期待される。

第29回つくば賞

受賞者なし

第28回つくば奨励賞(実用化研究部門)

第28回つくば奨励賞(実用化研究部門)受賞者:中津氏
中津 欣也(なかつ きんや)

株式会社日立製作所
研究開発グループ 制御イノベーションセンタ
主管研究長兼電動システムラボラトリ長

第28回つくば奨励賞(実用化研究部門)受賞者:齋藤氏
齋藤 隆一(さいとう   りゅういち)

日立オートモティブシステムズ株式会社
パワートレイン&電子事業部
電子設計本部 インバータ設計部
シニアコンサルタント
授賞の対象となった研究主題

直接水冷型両面冷却パワーモジュールの開発

受賞理由

持続可能な低炭素社会の構築に向けCO2削減効果が大きい電気自動車(EV、PHV等)を普及させるには、従来のガソリン車並みの航続距離、加速性能、高信頼化が必要で電池の搭載スペースを拡大し高出力で信頼性が高い電動駆動システムの構築が課題であった。受賞者らは、モータを制御するインバータが大型化している要因を突止め、パワー半導体モジュールの冷却性能不足であることを示し、パワー半導体モジュール全体をフィン付き金属ケースに収納し冷却水へまるごと浸漬させることで、冷却性能や信頼性を大幅に高めた世界初の直接水冷型両面冷却パワーモジュールの開発に成功した。本開発品は、2013年から量産を開始し、世界各国の電気自動車に搭載されているほか、大きな電力を消費するデータセンターの無停電電源などへも適用され、低炭素社会に向け更なる貢献が期待されている。
これらの計測法は、対象の構造自体を活用したり、二次モアレなどを用いることで、多様な対象に対して高い精度を実現するものであり、従来はコストが掛かっていた橋梁のひずみの計測に低コストでかつ制約の少ない計測技術として実用化に至った。老朽化等による橋梁等のひずみを計測することは全国各地の道路等の安全維持のために必須であることから、安価で精度の高いこの技術の今後の普及が大いに期待される。

第28回つくば奨励賞(若手研究者部門)

第28回つくば奨励賞(若手研究者部門)	受賞者:桜庭氏
桜庭 裕弥(さくらばささくらば ゆうや) 氏

物質・材料研究機構
磁性・スピントロニクス材料研究拠点
磁性材料グループ
グループリーダー
授賞の対象となった研究主題

室温高スピン分極ハーフメタルホイスラー合金材料に関する先駆的研究

受賞理由

スピントロニクスデバイスの高性能化に直結する室温でスピン偏極した強磁性材料「ハーフメタル」の実現が切望されている状況の下、桜庭氏はトンネル磁気抵抗素子において巨大なトンネル磁気抵抗比を観測し、ホイスラー合金がハーフメタル性を有すことを実証した。さらに、巨大磁気抵抗素子において室温で大きな磁気抵抗比を観測し、ホイスラー合金が室温でハーフメタル性に由来する高いスピン偏極率を有すことを実証した。これらの成果は国際一流雑誌に数多く掲載され、成果の新規性の高さから数多く引用されるなど世界的に注目されている。桜庭氏の研究によって見出されたホイスラー合金系ハーフメタル材料に関する成果は、革新的スピントロニクスデバイス実現の土台となり、実社会に貢献することが強く期待される。